正信念仏偈経本 刊行にあたり
2021年1月16日
正信念仏偈(お正信偈)は、宗祖親鸞聖人が800年前に作詞され、蓮如上人が500年前に作曲された浄土真宗の代表的な歌(偈)です。それを私たちは500年以上にわたって唱え続けてきました。先達の方々が日常のお勤めとして朝なタなにお唱えしてきたことによって、阿弥陀如来のみ教えと宗祖親鸞聖人のお示しが、正統に伝えられてきた歴史があります。まさしく、お正信偈こそ、宗祖親鸞聖人ご自身のご安心、ご信心のお心が表わされたものであるといわれています。
ところが現代は、時代の推移とともに、生活環境が大きく変化し、お仏壇が家庭に安置されなくなり、お経本に目を通すご縁が著しく少なくなっています。
今こそ、『お正信偈を唱和する運動』を、あらたに進めなければなりません。たとえ浄土真宗の門信徒の方であっても、普段お寺にお参りするご縁の少ない方が宗教的な情況に接していただく機会は、お通夜やお葬儀、身近な方のご法事の場です。そのような場において参列者と共に、お正信偈を唱和することは浄土真宗の世界に、より具体的に出遇っていただく第一歩になると思います。
そのような折に、私たち住職が持参して利用するのに便宜を図って、この経本を刊行いたしました。お正信偈を唱和する運動の一助となることを切に願い、発刊の言葉といたします。
令和3年(2021)1月
筑後伝道研究会々長
光明寺住職 傍示裕昭