予告通り今回も仕事の話をさせて頂こうかと思います。
仕事の話といっても切り口は多々ありますが、やはり外せないのは工場実習かなと思います。
自動車業界に限らず、各メーカーの新入社員が避けては通れない試練、それが工場実習です。
今回は、実習を通した一夏の思い出話をさせて頂きます。
僕はちょうど夏真っ只中の8月から現場に配属されました。工場内に入ると、第一印象は「暑い」でした。
機械が溶接する工程だったのでそこは溶けそうな暑さです。クーラーがあると聞いていたので壊れているんじゃないかと思いました。夏の間の日中は常に35℃以上ありました。
仕事の服装は、長袖長ズボン、さらにその上から保護具を身に着けフル装備スタイル。部品が体のどこかに当たってもなるべくケガしないようにするためです。
立ってるだけでも暑いのに、3kgほどの部品を持って歩きながら治具に組み付けていく作業をひたすらやります。1日で歩く距離はトータルで20km以上ありました。
そんな環境下だから大学生活で鈍りきった僕の身体はすぐ悲鳴を上げます。慣れるまでは常に身体のどこかが痛い日々でした。
朝起きたときに、手が部品を持つ形に固まっていたときはさすがに笑いました。
実習3日目、早速山場を迎えます。1週間前までぬくぬくデスクワークしていた僕の体力が限界を迎えました。
2時間ほど休ませてもらっている間に感じた気が遠くなるような気持ちを今も覚えています。
これがあと数か月続くのかと。最後まで耐えられる気がしませんでした。
仕事の一番最初の壁はもちろん仕事内容を早く体に叩き込むことです。
1人が受け持つ工程に与えられた時間が決まっていて、時間を超過すると自分より後の工程に影響が出ます。
持ち出す部品を間違えたり、部品を治具にうまく取り付けられなかったり、それだけで大変なタイムロスです。
最初1か月は無駄な動きが多く、何度も迷惑をかけて怒られました。
そして次に迎える壁は体内時計の切り替えです。
勤務先の勤務形態は早番(早朝〜夕方)と遅番(夕方〜深夜)で分かれていて、24時間稼働していました。
1週間交代で早番遅番が切り替わるのですが、きついのは遅番→早番の切り替えです。
早番になると遅番のときに寝ていた時間に起床するようになるのですが、
体内時計がたった土日の1〜2日で切り替わるわけもなく、週明けの月曜が特にきつかった記憶があります。
ここまでで大変だったことを少々大袈裟に書きましたが苦労したのは最初だけで、実は実習2ヵ月目以降の記憶は今ではほとんどありません。
9月下旬になると気温も下がり始めるので体力的に楽になる上、
気づいたら身体がすっかり現場に適応していたので、頭を空にして仕事をしていました。
ただ痩せるのだけは変わりませんでした。1日中歩くのでひたすら痩せます。実習が終わる頃には実習前と比べて12kg痩せていました。本当です。
何をどれだけ食べても太らなかったので、それだけは良かったなと思います。
こんな調子で「早く終われ」と思いながらこなした実習も4か月ほどで終わりを迎えました。
書き終わってみれば思い出話よりも苦労自慢ぽくなりましたが、今思えば貴重な経験だったなと思います。
余談ですが、実習の間に頂いた給料は、全部使って中古のマニュアル車を買いました。